素敵な洋服に囲まれながら仕事をする。どんなに自分の好みがあろうと毎日見ているから感化されて、店の商品が好きになってきます。
そうなると店の商品を「商品」として見るよりも、カタログでも見ているような気分になるのです。
客観視してみると実に呑気でした。少なくとも私は一度も「生活のためにここで働いている」というスタッフは見た事がありません。
確かに生活のためと言えば生活のためでしょうが、社割の限度額ギリギリまで買い込んだりしているのだから本気で生活がかかっていたとは思えません。
金欠の理由も買い過ぎて予算オーバーだとか、真面目に働く気があるだろうけれど、どこか浮ついていました。
そんな人達も異業種に就けばそんな呑気な生活はしないだろうと感じます。まあ、それも洋服が好き!という理由ですが、それにしても強烈な世界です。
洋服の心配が先
だって、店舗が閉店の時には職場が無くなる心配よりも洋服の心配が先なんです。
このブランドはここでしか売っていないから今のうちに買い込んでしまおうと7~9割引になると知り、毎日コーディネートしながら品定め。もちろんどっさり買いますね。
とてもこれから職場が無くなる人の金の使い方に見えません。すごく長い時間をひとつのショップに居たという事がないのですが、もしもすごく長い時間居たとしても飽きる事なく毎日あれが良いこれが良いと仕事の合間に品定めしては買い込むのだと思います。
自ら辞める時は商品に見飽きた時。そして違う洋服店に勤めるのでしょう。洋服販売員のほとんどがこうだ!とは言いませんが、多いパターンかと思います。
あの時点で運命が決まっていた?
洋服店も色々ありますが、特にセレクトショップで多いかな?という閉店の前兆。セール前の値札の書き替えがゆっくり出来るようではアウトでしょうか。
閉店間近。私のいたお店で、2回そんな現象がありましたし、どちらも閉店して終わりました。
勤めている時は気づかなかったのです。というのも、あまり他で買い物しなくなるから。
よく考えたらセール前となれば足繁く通い品定めして、こいつはセールにかかる前に出そうかな?と踏めば思い切って買っちゃったり、そんな感じで上顧客になり、一点だけならセールにかかるまで取り置きしてもらえる…という事に有りついたり。
確かにセール前はそうして何度も下見に行き、他にも似たようなお客さんが何人もいて店員さんは忙しそうでした。
今になって気付いたのが、セール前にゆっくり準備に没頭できたようではダメですね。
それを高飛車に「うちは高いからセール時に勝負だ」などと口を揃えて言っていたのだから手の施しようがありませんね。
閉店は当たり前
ほんと閉店して当たり前でした。どんなに良い物を置こうが売り上げが良くなければ運営さえできません。
物は良いのにね~。と言う前に、お店が暇なら何かが足りないのだと焦るべきでした。
例えばランクを下げようと手の出易い価格の物を置く。看板商品をディスプレイする際は一旦こだわりを捨てて一般受けする商品と合わせるとかして多くのお客様を掴めば良かったのです。
売り上げが追い付かず閉店するという、まさに最後の最後まで商品を賞賛するのが店への愛ではなく、店を長く持たせるか工夫し、個性や奇抜さ重視のまえに自分達が折れる事が店への愛なのです。
強いこだわりも大切ですが、その商品を置く店はもっと大切なのです。危険信号を見逃してはなりません。