洋服店で働いていると嬉しい時というのがいっぱいあるんです。自分がディスプレイした商品がすぐに売れた時、顧客様が指名してくれた時、ハガキを書いたら来てくれて合いそうな物をオススメしたら買ってくれて「来て良かった」と言ってもらえたり。仕入れに行って自分が買い付けた物がすぐに売れた時、本当にいっぱいあります。
何より、毎日好きな洋服に囲まれているだけで幸せだというのもあります。おもしろいのが、最初は「ここの商品はちょっと自分には合わないかな」と思っても毎日見ていると惚れてしまうんです。まあ、全部とは言いませんけど。
やっぱり売り上げが一番うれしい
一番嬉しい時は、やっぱり売り上げの事です。売り上げと言うのは販売員としての仕事ですし仕方ないのですが、「ここの商品が大好き」というスタッフからしたら、本当に喜びも大きいのです。
例えるとしたら…大袈裟ですが、「美味しいって言ってもらえた時が一番嬉しい」と言う料理関係のお仕事に近いでしょうか。
販売スタッフは勝手に商品ひとつひとつに愛情を込めて畳んだり、ちょこっとハンガーをずらして位置を変えてみたりしているうちに、自分が作ったような気になっている事があります。
気持ちの悪い話ですけど。少なくとも私の居たお店のスタッフはほとんどの人がコレでした。
「ファッションに興味ない。高い服なんて買う意味がわからない」というスタッフには遭遇したことさえないのです。
もしかしたら本音はそうで、空気を読んで商品に対しての愛着の有り方を周りに合わせていたと言う人がいたかもしれないですが、私の見た限りでは皆が本気で商品に愛着を持っていました。
そんな商品に囲まれながらの売り上げはとても嬉しいのでした。
引っくるめて言えば、可笑しい世界
洋服の販売をしていた日を思えば、まず最初に「楽しかった」という事ですね。
閉店は辛いですが、こだわりのある商品を置くお店なのだから必ず売り上げが伴うかと言えば違います。ですが私はそんな商品に囲まれながらの仕事ができて最高でした。
そんな余韻を見つめているとヒョイっと浮かぶのが強烈な曰く付きのトラブルメーカーです。
3軒で仕事をして2人に遭遇したら印象が強いのは当たり前ですが、経験が多いスタッフに言わせたら販売スタッフではそういった人達は多いのだと言います。
ここも可笑しい話ですが、なぜそんな人を見抜けずに採用するのか?それは経営や人事側は意外と販売員の日頃の行いというものに目が行かず、ヤツ絡みで誰かが辞める時や本人が大暴れした後に辞める時も、あくまでもスタッフ間の出来事でしかなく再度求人をかけるだけとの事です。
曰く付きという人物も少なくないですが
その曰く付きという人物は自分に非がないと信じて疑わないのだから必ずまた涼しい顔で出没するのです。
色んな仕事で色んな曰く付きという人物はいるだろうけれど、アパレルという狭い世界で何度もトラブルを起こしては涼しい顔で近場に勤める。
神経を疑うサマですが、それだけアパレルという世界は非常に魅力的であり他人にどう思われようが痛くも痒くもない気にさせる何かがあるんじゃないかとさえ思います。
もしも私も人様と職場でケンカを吹っ掛けてトラブルを起こして最後はスネて辞めた…なんて事をしでかしたなら、恥ずかしくて恥ずかしくてしばらくアパレルから離れます。
いや、もう働けたものではないですね。しかしソレをやってのける人がゴロゴロいる世界なのですから私が経験した程度では語り尽くせない魅力があるのでしょう。
特にイヤな事もないのに辞める人が多いのに何故かまたアパレルに戻る率が非常に高い世界。少し可笑しい世界ですが、店内の仕事は楽しいものです。